その他競争的資金獲得実績 - 會澤 純雄
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ペプチド/層状複水酸化物ナノ複合体の合成と非ウィルスベクターへの応用
物質・デバイス領域共同研究拠点
資金支給期間 :
2011年04月-2012年03月研究内容 :
近年,ドラッグデリバリーならびに非ウィルスベクター材料として層状複水酸化物(LDH)が注目されている.LDHは,陰イオン交換能を持つことから,インターカレーション反応を用いた,有機化合物/LDH複合体の合成における基盤物質として用いられている.本申請課題では,LDHへのインターカレーション反応を用い,たんぱく質を構成するペプチドとLDHとの複合化に着目し,ペプチド/LDH複合体の合成ならびにその細胞毒性について調べ,新規なペプチド/LDH複合体を母体とした非ウィルスベクターの創製を試みる.
LDHは制酸剤として多くの医薬品に含まれており,生体親和性が高いことからLDHへのベクター機能の付与が期待できる.しかし,LDHの細胞毒性ならびに細胞内へのたんぱく質や薬物の送達能力について詳細な研究は行われていない.また,ペプチドは人体にとって重要な機能を担っているが,熱安定性ならびに耐酸性が低いため安定化が求められている.ペプチドはLDHとナノレベルでの複合化にともない熱安定性,耐酸性ならびに生体親和性の向上が予想され,細胞への送達能力の向上も期待できる.以上のことから,ペプチド/LDH複合体に,薬物,たんぱく質,遺伝子などを送達する能力を備えられれば,感染性がなく,安全性の高い,低コストで量産可能な多くのメリットを備えた新しい有機/無機非ウィルスベクターへの展開が期待できる. -
層状複水酸化物を基材とするドラッグデリバリー材料の開発
平成22年度 財団法人日本化学研究会 化学研究連絡助成金
資金支給期間 :
2011年03月-2012年02月研究内容 :
近年,新薬の開発が難しくなり,さらに薬物の特許切れの問題から,既存の薬物を工夫することで薬理効率の向上を目指したドラッグデリバリーシステム(DDS)が注目されている.現在,ドラッグデリバリー材料を目的とした様々なナノ粒子に関する研究開発が行われており,ナノレベルで構造を制御した各種ドラッグデリバリー材料が報告されている.一方,層状複水酸化物(Layered double hydoroxide: LDH)は,層間へ陰イオンを取り込むことが可能であり,生体親和性が高いためドラッグデリバリー材料への応用が期待されている無機ナノ粒子一つである.本申請課題では,抗がん剤をLDHへ取り込んだ「抗がん剤/LDH複合体」を合成し,さらにLDHの粒子サイズ・形状の制御を試みる.また,抗がん剤/LDH複合体の細胞毒性,つまり細胞への抗がん剤の輸送効率の向上を最終目的とした.細胞への抗がん剤の輸送効率を改善できれば,LDHは,非ウィルスベクターのような感染性が低い,安全性が高い,低コストで量産可能など多くのメリットを備えたドラッグデリバリー材料としての役割を果たすことが期待できる.
ドラッグデリバリー材料に付与したい性能は,1)薬物放出の制御,2)薬物の標的指向化(ターゲティング),3)薬物の吸収促進である.これまで個々の性能を持つドラッグデリバリー材料は数多く研究・開発されてきたが,薬物の多様化,医療技術の高度化に伴い,多くの機能を併せ持つドラッグデリバリー材料の開発が求められている.しかし,すべての性能を付与することは困難である.とくに3)薬物の吸収促進,つまり薬物の細胞への輸送効率の改善が重要である.ドラッグデリバリー材料としてLDHを利用する場合,LDHは細胞表面へ吸着し,細胞内へ迅速に取り込まれ,細胞内のエンドソームにおいて溶解されることで薬物を放出,速やかに代謝される.従って,他のドラッグデリバリー材料に比べて分解されやすく,かつ蓄積性が低いため生体への負荷が低いことが予想される. -
層状水酸化亜鉛/紫外線吸収剤ナノ複合体の合成とUV防御特性
物質・デバイス領域共同研究拠点共同研究課題
資金支給期間 :
2010年06月-2011年03月研究内容 :
オゾン層破壊に伴うオゾンホールの発生により,地表へ降り注ぐ紫外線量の増加は人間に対し身近な環境問題であり,様々な産業において高性能な紫外線防御剤(UV防御剤)の開発が注目されている.現在一般に使用されているUV防御剤はUV吸収剤(有機化合物)とUV散乱剤(無機化合物)に大別される.UV吸収剤は高いUV吸収能をもっているが,人体に対する有害性が認められているため使用量に制限がある.一方,酸化チタンや酸化亜鉛などのUV散乱剤は人体への危険性は少ないものの,可視光線の反射に伴う白浮きなどの欠点があり,粒子形状および粒子サイズの制御による改良が行われている.
近年,有機物と無機物がナノオーダーで複合化したナノハイブリッド化合物の研究が行われている.なかでも無機層状化合物の層間へ有機化合物を取り込ませるインターカレーション反応は,層間における有機分子の配向や配列制御が可能であり,新規有機−無機ナノハイブリッド化合物の合成法として広く利用されている.
そこで本研究では,UVの散乱能および吸収能を同時に発現可能なUV防御剤の開発を目指し,層状水酸化亜鉛(Layered Zinc Hydroxide: LZH)へのUV吸収剤をインターカレーションしたUV吸収剤-LZH複合体の合成ならびにそのUV防御能について検討する. -
秋期入学支援計画
平成20年度 9月入学支援経費事業
資金支給期間 :
2008年07月-2009年01月研究内容 :
交流協定校ではあるが本学への工学研究科への進学の実績はない寧波大学、華南理工大学を対象に、相手大学から推薦された留学生が本研究科に中国での学部卒業後直ちに本研究科に進学できるようなシステムを構築すべく、訪問調査を実施した。新たに、ベトナムホーチミン工科大学に関しても秋期入学の実施に向けた訪問調査を実施した。
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有機−無機ナノ複合体からなる高性能紫外線防御剤の開発
平成15年度笹川科学研究助成
資金支給期間 :
2003年04月-2004年02月研究内容 :
本研究では,UV散乱およびUV吸収能を同時に機能することが期待される新規なUV防御剤の開発を行うため,層状水酸化亜鉛(Layered Zinc Hydroxide:LZH)に着目し,高性能UV防御剤合成法の確立を目的とした.