その他競争的資金獲得実績 - 中西 良樹
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音波による球面調和関数の視覚化と音声分析 (量子物理学の視覚化理解補助として…)
学長裁量経費
資金支給期間 :
2010年04月-2011年03月研究内容 :
電子物性材料の設計に電子の挙動を記述する量子物理学は必要不可欠である。しかしながら、その講義内容は科目の性格上、数式を駆使した数学的な側面が強く学生達の中でも単位取得に労力が集中している。授業アンケートでも明白なように、楽しんでいる学生は少なく、効果的な対策を講じることが急務である。最近、米国物理学会で開発された、音波による球面調和関数の視覚化を可能にした実験装置(装置名:Quantum Analogs QA1-A)は、こうした状況を大きく改善してくれる教材として上げられる。そもそも、量子物理学、統計物理学といった難易度の高い最先端の物理学を学部学生が理解しにくい大きな理由に、講義で扱っている物理的状況あるいは問題がイメージしにくいところにある。量子力学の最も基本となる波動関数の空間分布を音波で視覚化することで、教育上、受講生の大きな助けとなり得る。現在開講している、量子物理学及び、材料物性工学実験の教材として、本装置の申請を強く希望する。
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希土類化合物における超音波を用いた極低温、強磁場下での弾性特性の研究
財団法人高橋産業経済研究財団
資金支給期間 :
2010年04月-2011年03月研究内容 :
貴財団の助成金により、超伝導量子干渉計(SQUID)装置を用いた超音波音速測定を可能にし、印加磁場方向に対して3次元空間弾性定数の描画イメージングを可能にした。具体的には、SQUID用の試料棒先端に一軸回転機構を施し、そのステージに従来の超音波プローブを装着させることに成功した。
研究対象とした物質群は、量子臨界点近傍に位置する異常金属電子状態が実現した希土類化合物である。最近、物質の磁気特性を担う希土類のf電子と結晶中を遍歴する伝導電子間の相互作用に起因した新奇量子現象の物性解明が固体物理学の中心研究課題として位置づけられ、実験理論両面から精力的な研究がなされている。両電子間にはf電子の磁気モーメントおよび異方的な電荷分布を伝導電子で磁気的あるいは電荷的に遮蔽しようと作用する近藤効果、そしてf電子が磁気的あるいは電気的に秩序化しようとするRKKY相互作用がそれぞれ実効的に強く働き、両者は互いにエネルギー的競合状態にある。こうした両相互作用が拮抗した電子状態あるいは極めてそれに近い状態にある電子系では、これまでの固体物理学の範疇を越えた興味深い量子現象および異常金属相が実現していると考えられている。実際に、これらの実験的証拠も報告されてきている。特に、その異常金属電子状態では、特徴的な異方的諸物性が出現する。本来、近藤効果は、磁気的あるいは電気的に局在f電子を遮蔽するため、異方性を示す物性は期待出来ない。現在、この異方性発現機構解明はもとより、報告例も少ない状態である。我々は本研究により、こうした新規異常金属相の実験データベース拡充と、それに基づいた異常金属電子状態解明に関する実験的証拠を得ることに成功した。
2.成果の詳細
本研究で行った実験結果の1例についてここで詳述する。希土類Pr元素を含んだ、カゴ状物質PrTr2Al20 (Tr: Ti, V)の超音波を用いた弾性特性の研究である。この系の特徴は、化合物が有するその結晶構造にある。希土類Pr元素はダイアモンド構造をとり、遷移金属Trはβパイロクロア型構造をもつ。そして希土類、遷移金属を取り囲む様にAlがカゴを形成する。(Frank-Kasper構造)こうした結晶構造は、磁性を担う希土類元素(ゲストイオン)がAlで形成されるカゴに内包され、Alカゴ内の広い有効空間中に比較的弱く結合した状態で存在すること -
音波による球面調和関数の視覚化と音声分析 (量子物理学の視覚化理解補助として…)
学長裁量経費
資金支給期間 :
2010年03月-2011年04月研究内容 :
当初、マックスプランク研究所強磁場施設におけるパルス強磁場超音波装置の視察と共同実験に関する調査でドイツ(マックスプランク研究所)へ出張を予定していたが、地震により交通機関が不通となったため、延期することとなった。平成22年度予算でドイツでの強磁場施設の実情を調査し、平成23年度予算で調査結果を踏まえた共同実験に関するプログラム策定と成果を報告する必要があるため、平成23年度予算だけで実施することが困難である。
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希土類化合物における超音波を用いた極低温、強磁場下での弾性特性の研究
財団法人村田学術振興財団
資金支給期間 :
2009年04月-2010年03月研究内容 :
微小空間内ギガヘルツ級超音波同時測定装置の開発
低温物性研究においてヘリウムをはじめとする寒剤は必要不可欠である。一方、現在の世界情勢において、石油の急騰を背景に寒剤事情は極めて厳しい状況におかれている。これまで物性研究において平均的に用いられてきた大型超伝導磁石の継続的使用は、研究予算の乏しい研究組織では致命的であり、出来るだけ少量の寒剤消費で効果的に実験が出来るよう、実験装置自体のコンパクト化への移行は将来的にも急務である。微小空間での低温物性実験は、こうした現在の厳しい社会情勢の中、自然に導かれる発想であり、将来の継続的な研究が期待出来るものと考えられる。本申請では、こうした厳しい地方大学での基礎研究の現状を打開すべく将来型省ヘリウム微小空間内磁気音響同時測定装置の開発と題して以下のように研究を推進していく。
本研究の特徴は物性研究を行なっている研究・教育機関で幅広く汎用的に活用されている超伝導量子干渉計(SQUID)装置に超音波装置を組み込み、SQUID 装置の本来の機能である磁化測定と、我々が長年専門的に着手してきた超音波を用いた弾性定数、超音波吸収の測定を同時に行なうところにある。これまで、両実験は測定の上で、全く別に行なわれてきた実験であるが、この組合せを実現することで寒剤の消費量そして手間、時間が半減、もしくは相乗効果によりそれ以下に抑えられることが期待される。また、データ収集、入力信号装置等の周辺機器としての超音波装置を将来的によりコンパクトなものにすることで、モバイル型超音波測定装置の開発が可能となる。こうした暁には、本大学での測定のみならず全国あるいは全世界の研究・教育機関において本研究で提案する同様な微小空間内磁気音響同時測定が行なえることになる。取り分け、放射性物質を測定対象とした研究テーマでは厳しい管理下のもとで特定の区域でのみ物性研究が認可されている。こうした現状のもと放射性物質を含んだアクチナイド系物質の物性研究を行なう上で、研究機関に幅広く普及しているSQUID 装置が、その管理区域に設置されている場合、通常の物質と全く同様に本研究を推進することが可能となる。
これまで磁性・超伝導を含む興味深い量子現象が5f電子系であるウラン、超ウラン化合物系で報告されているにも関わらず限られた特定の区域内でのみしかその使用を認可されなかった -
希土類化合物における超音波を用いた極低温、強磁場下での弾性特性の研究
財団法人高橋産業経済研究財団
資金支給期間 :
2009年04月-2010年03月研究内容 :
貴財団平成21年度事業による助成金を受領しましたが、年度末現在において下記の成果を得ましたので、収支の概要と併せて報告致します。(関連論文がある場合は、添付して下さい)
1.成果の概要:
貴財団の助成を受けまして、本研究室でSQUID測定装置を用いた超音波音速測定を可能にし、強相関物質における新規量子現象の発見とその発現機構に関する解明を行った。特に、Yb化合物の弾性特性について詳細に研究を行った。これまで強相関系物質の研究はCe化合物が主流であった。その量子現象は多彩を極め、重い電子系、多極子秩序、金属絶縁体転移、非フェルミ液体的な振る舞いなど現代の固体物理学における中心的な問題を多く含んでいる。Ceは4f電子が1個存在する電子状態を有し、この4f準位はフェルミ準位にごく近いためCeの4f電子が物質の伝導性、磁性を担っている。Ceとちょうど対称的なYbは4f電子を13個有する。これは4fホールが1個存在する電子状態と等価である。従って、Ceの4f準位と同様にYbの4f準位はフェルミ準位に近い位置に存在し、特異な量子現象が出現する系として注目を集めていた。しかしながら、Yb元素自身が高融点、高蒸気圧であるため単結晶試料、特に超音波測定を行うために十分な大きさの単結晶育成が困難な状況であった。そのため、Ce化合物に比べてYb化合物の研究は未開拓な分野が多い状態であった。ごく最近、結晶育成技術の向上によりYb化合物の単結晶育成が行われるようになり、我々の開発した省エネ型超音波装置で測定を行い、
Yb化合物の量子臨界点近傍における電子状態を解明した。4f局在電子間には伝導電子を介して磁気秩序を起こそうとする相互作用がはたらく (RKKY相互作用)。また同時に4f局在電子の磁気モーメントを消失させるように伝導電子が遮蔽する (近藤効果)。両者は競合し、ちょうど拮抗している状態を量子臨界点と呼ぶ。本研究ではYb化合物の量子臨界点近傍における電子状態について、超音波を用いた弾性特性の研究により明らかにしたので報告する。
2.成果の詳細
超音波を用いた弾性定数の測定をYb化合物YbTr2Zn20(Tr=Co、Rh、Ir)、YbPtSb、YbPd、YbAuCu4について行った。この物質群は伝導電子と4f電子間の主要相関となる近藤効果とRKKY相互作用が拮抗しており、特殊な電子 -
パルスマグネットを用いた超伝導体の磁気抵抗測定および上部臨界磁場の決定
岩手大学活性化経費(萌芽的教育研究支援費)
資金支給期間 :
2006年04月-2007年03月研究内容 :
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希土類化合物における超音波を用いた極低温、強磁場下での弾性特性の研究
湯川記念財団
資金支給期間 :
2004年04月-2005年03月研究内容 :
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超伝導MgB2のB同位体置換薄膜の作製
岩手大学活性化経費(萌芽的教育研究支援費)
資金支給期間 :
2004年04月-2005年03月研究内容 :
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超音波を用いた極限環境下における強相関伝導物質の低エネルギー励起に関する研究
岩手大学活性化経費(萌芽的教育研究支援費)
資金支給期間 :
2003年04月-2004年03月研究内容 :
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希土類化合物における超音波を用いた極低温、強磁場下での弾性特性の研究
(財)栗林育英学術財団
資金支給期間 :
2001年04月-2002年03月研究内容 :